2015年2月14日土曜日

あの陽に向かって

曲をつくった。ひまわりという曲。なんだか可愛いタイトルなのである。
うちの近く、俺が出かける時決まってコーヒーとタバコを決め込むコンビニ前にひまわり畑がある。夏の間数週間だけであるが。たぶん近所のガキどもが学校の授業か子ども会かなんかで植えたんだろう。
規模はそんなに大きくない。背丈もそこまで高くない。だけどびっしり並んだ黄色い花が例外なくお日様を向いてまっすぐ上に伸びているその景色は、見とれてしまうほど壮観で力強くて優しくて。
光を求めてあきらめないようす。懸命に生きる健気なようす。雨にも風にも決して負けないようす。しっかりと地面に根を張って、なんでもこいと言わんばかりのどんと構える姿。太い茎。大きな葉。ぶっとんで明るい色の花。
夏も暮れに差し掛かる頃、これまた例外なく花は一斉に下を向き始める。だんだんと色も褪せてくる。
どうした?元気ねぇな!と思わず声もかけたくなるほど。いつものようにタバコとコーヒーを決め込みながら、なんだか寂しくて、今の俺のようで。
季節が変わる頃、花はみんな枯れちまう。俺たちは秋の楽しみを見つける。
また来年の夏に、(たぶん)こいつらの種をどこぞのガキどもが同じ場所に植えて、季節と同じように輪廻する。人もまた。かどうかはわからないけど。
ひまわり、美しく大きい花。太陽みたいに輝いて、強くてたくましくて。
この胸の花。まだちっぽけな種かもしれない。小さな芽が出始めたばかりかもしれない。だけどいつか、あいつみたいに、ひまわりみたいに、まっすぐまっすぐ上向いて、
いつかは誰よりも、でっかくでっかく咲かせてやろう。
誰よりも輝く、俺の花。

ま、そんな歌をつくった。歌詞の内容全部言っちまった。
きっといい曲になる。早くバンドのメンバーに、聴衆に聞かせたくてしゃーない。ミュージシャとして胸の高鳴り抑えられない。
俺たちと違って、植物と違って歌は死なない。命を吹き込んで、命のようなものであるけれど、生き物じゃないからな。
いつかひまわりみたいに俺たちの歌が誰かの心を明るくさせられますよう。癒してくれますよう。

また次の夏に。ひまわり。


2015年2月6日金曜日

またいつか

ありがとうございました下北沢屋根裏。本当にありがとうございました。
顔合わせの時、豪さんが最後まで明るくいきたいと言っていた。でもやっぱり考えれば考えるほど、屋根裏閉店というのは、重い。たくさんの人が夢見続け追い続け、こだわり続けたライブハウス。バンドをやっていなかった時からそりゃ名前くらいは知っている。
初めて出たのは、かなり最近だ。たぶん一年もたってないくらい。きっかけはビンビンズの神田くん。
ずっと出たいなー、と思っていた。でも新しいとこにどうしても出なきゃいけないわけじゃなかったし、一歩が踏み出せずにいたところ誘ってもらった。
そこからバンドはなかなか思うように動けない日々が続き、お誘いをもらっても断ることばかりで。
今日でやっと3度目の出演だった。
そんなちょこっとしか出ていないライブハウスに思い入れもくそもあるんかって、俺にとってはそれよりもなによりもあそこには友達がたくさんいたからだ。
友達のスゲーライブを屋根裏でたくさん見た。五月女五月やラバーズアンドガバーズ、ザ・ビンビンズ、SHOCK WAVE、ザ・ポニーズ。
これぞ俺達の愛したライブハウス、という光景をたくさん見た。

今日楽屋に入った瞬間、なんだか不思議な気持ちになった。あのやけに居心地のいい楽屋。壁一面、ボロボロではがれかけのバンドステッカーや出演パス。ラクガキ。有名なバンドの名前も見る。30年。いやでも歴史を感じる。
不思議な気持ちっていうか、この場所がなくなることをたった3回出ただけの俺が寂しく思った。
ハッとした。どう考えても普通じゃない場所。特別な場所。に、出演させてもらっている。

歌に気持ちを込める。
って、俺も誰でも思っているしやろうとしているけど、
今日みたいな日はいやでも気持ちが入ってしまうというか。
たくさんの人が必要とした場所がなくなってしまうということ。そんなんなくなる前から気付いとけって話だけども。
全力で歌わざるをえなかった。気付いたら下手くそで不器用に俺が歌って拍手をもらって、ライブ終わって。
他のバンド見て、やっぱりすごいいいバンドばっかで。
バスで帰りたかったから早めに失礼して、帰りの電車でやっぱりまた悲しくなって。

精算のとき豪さんが話してくれたこと、伝わったよありがとうって握手してくれたこと、きっと忘れることないと思う。
本当に忘れることはない。ありがとうございました。
お疲れ様でした。下北沢屋根裏。ありがとうございました。ありがとうじゃ伝わらないくらいのありがとう。ばいばい。

俺なんかを受け入れてくれてどうもありがとうございました。


やっぱり寂しいので3月くらいにまた行きます。